2014年09月06日

「みなし契約」で受信料を強制徴収しつづけるNHK

放送法64条の法律成立過程を研究している論文が、「放送文化研究所」というNHK関連団体の職員によって、公表されていることを知りました。放送法の中でとりわけ問題となっている64条について、何かの参考になるかもしれないと思いましたので、説明することにします。戦後65年も、まともに改正されてこなかった64条の本質的な問題が何かが、当時の法の作成過程に現れているように見えます。

「放送法」は、昭和24年(1949)にGHQの占領下で議論され、発効したものですが、素案段階では、現行の文面とは、かなり異なっています。

放送法64条に関しては、法案の作成過程で、「契約」という文言をどのように入れるかが、大きな問題となっていたのです。これは、以下を見れば分かります。

(1)昭和24年8月13日段階
受信契約および受信料:
「受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約を締結したものとみなす


(2)昭和24年8月27日(最終=現行)
「受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない

(1)の段階では、「みなしの契約」というものを埋め込もうと画策していたことが分かります。これでは大きな問題が起こるだろうと法案製作関係者は考えたのでしょう。契約の文言を残し、「しなければならない」と義務化する文章にすりかえたのです。

しかし、この義務の違反に対する罰則は設けられないで現在に至っていることを考えるならば、「みなしの契約」の精神が、いまだに残っていることが理解されます。要するに、NHKは、テレビを所有し設置している世帯を、「契約を締結したものとみなし」一方的に集金できると、契約の自由という国民に保障された権利を侵害して、一方的に国民の資産を掠奪しているという解釈が可能なのです。

実は、この昭和24年に放送法作成に関わった人物の記録も残っています。荘宏という人物ですが、彼は、1963年の著書の中で、以下のように述べている。

「この制度の下においては、名は契約であっても、受信者は単に金をとられるという受身の状態に立たされ、自由な契約によって、金を払うがサービスについても注文をつけるという心理状態からは遠く離れ、NHKとしても完全な特権的・徴税的な心理になりがちである」

荘宏 『放送制度のために』(日本放送協会) 1963年、P.258
驚くべきことですが、放送法の制定から65年経過した今でも、また、この本が書かれた半世紀以上たった今においても、この荘という放送法に関わった人物の憂慮は、まったくそのまま国民とNHKに当てはまるものでしょう。

国民は不当に受身な状態に置かれ、契約の自由を無視しているNHKは一方的に徴税的な心理で、「集金」しても問題ないという最低なモラルを押し通しています。これは、放送法をつくる段階で見通されていたことなのです。その背後には、「みなしの契約」という姑息な方法が隠れていたということです。元の案では、みなしの契約でしかないものを、現行の案のように、「契約をしなければならない」となったことによって、NHKは、国民の契約の自由を無視して、ひたすら徴税人のように集金できると勘違いしたまま、2014年を迎えているのです。国民の財産を侵害する重大な案件だと考えています。結論としては、以下が言えると思います。

放送法64条は、契約の義務化をうたう文面を廃止し、みなし契約と解釈可能な文言も慎重に排除して、「契約の自由」という国民の本来持つべき権利にもとづいて、すべてを書き換える必要があると考えます。

以上述べたことの資料は、以下の「放送研究と調査」という雑誌の号で紹介されています。ご関心がありましたら、内容をご確認ください。

「放送研究と調査」2014年5月号, p.32-47
論文名:放送法・受信料関連規定の成立過程〜占領期の資料分析から〜



posted by 警鐘凡打 at 14:39| Comment(0) | TrackBack(0) | かたる | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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